ゆで卵の戯言

26歳SIer勤務の男の戯言です。

【映画感想】前科者

はじめに

映画「前科者」は2022年に公開された、岸善幸監督/有村架純主演の保護司をテーマにした、社会派エンターテインメントです。
原作であるコミック(香川まさひと 月島冬二作)も非常に面白いのでぜひ読んでみてください!

コミックスはこちら

この映画は映画の前に、WOWOWでドラマ版をやっていました。(2022/2現在、AmazonPrimeで観られます。)
映画を見る前にこちらのドラマを見ておくことをおすすめします。ドラマ版からの重要人物も今回登場しますので、そのあたりの関係性がわかる方が、より楽しめると思います。

「前科者」は保護司という聞きなれない仕事を題材にしたヒューマンドラマです。
保護司とは、非常勤の国家公務員であり、仮釈放中の受刑者の更生を手助けするために、民間のボランティアによって成り立っている職業です。
前科者として暮らしていく受刑者とその更生を手助けする保護司の苦悩と葛藤、友情の物語です。

当記事にはネタバレを含みますので、ご注意ください。

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公式サイトより引用

あらすじ

保護司として活動している阿川佳代(有村架純)は、元殺人犯で仮釈放となった工藤誠(森田剛)を受け入れることになる。
工藤は働いていたパン工場で先輩からの暴力といじめに耐えられずナイフで刺し殺してしまい、刑務所に入っていたが、初めての顔合わせの際、阿川は工藤が人を殺してしまうように見えなかった。
工藤は知り合いの自動車修理工場で働きだし、その勤務態度はとても真面目で、仮釈放が解けたら正社員として雇用するとまで更生していた。

そんなある日、警官の銃が奪われ、警官と別の女性が打たれるという事件が発生し、大きなニュースとなる。
数日後、半年間の仮釈放期間もあと2週間を切ったところで、工藤はラーメン屋である青年と相席することになった。
その青年は様子がおかしく、そのことが気にかかり工藤はその青年の後ろをついていく。
実はその青年というのが、誠の弟である実だったのだ。誠と実は子供のころに、母親が父親に刺殺され養護施設で育てられていた。誠が先に施設を出て働き、刑務所に入っていたため、施設以来の再会だった。
実は薬に手を出しており、放っておけなくなった誠は定期的に面倒を見るようになる。

ある日の夜、誠は実を連れて河川敷に行くと、突然自転車でやってきた男性を実はピストルで撃ち殺してしまう。実はニュースになっていた拳銃強奪および殺人の犯人だったのだ。
なぜこんなことをするのかと誠が実に問い詰めると、ある資料を誠に見せる。そこに書かれていたのは標的となった人物とこれから標的となる人物だった。
この男性から検出されたDNAが誠のものと一致したため、容疑者として誠が捜査対象となってしまう。この事件の捜査を行う刑事・滝本真司(磯村勇斗)は、保護司である阿川と再会を果たす。実は二人は同級生で、初恋の人物だった。
この事件を通して、阿川は保護司としての使命や自身の力のなさに打ちひしがれてしまう。それでも必死で誠の更生を信じ、独自に誠を追いかける。

実の標的となった人物の関係、誠と実の関係、保護司としての阿川と滝本の関係、同級生としての阿川と滝本の関係など、様々な立場の違う人間同士の関係性が色濃く様々なところで渦巻いて、最後には大きな感動が待っている。

感想

この作品に出会うまで、保護司という存在すら知りませんでした。仮釈放中の受刑者に対して更生の手助けをして、さらにはボランティアで行っている人がいるなんて驚きでした。
そういった手助けができる方たちというのは、とても社会に貢献されていて、尊敬の念に尽きます。。素晴らしい職業だと思います。

さて、映画の感想ですが、ドラマから一貫して阿川の人間性が愛おしすぎます。生真面目で頑固でどこか抜けているという役柄に、有村架純さんがとてもマッチしています。
一生懸命に受刑者の更生に寄り添い、時には喧嘩し、時には受刑者にも支えられ、ひたむきに保護司としての職務を全うしていく姿に、なんだか応援したくもなります。
今回の中心人物である誠も優しい人間だが、過去の母親の事件を馬鹿にされたことで人を殺してしまう等、不幸な役柄を森田剛さんがとても丁寧に演じられています。弟に見せる優しさや、映画の最後に見せる号泣シーンなど、随所に人間味が溢れていました。

あと、個人的にドラマ版からの継続して出演している斉藤みどり(石橋静河)が、とてもいい役どころだと思います。元受刑者ですが、阿川の保護司として最初の対象者で、四苦八苦しながら見事に更生し、今では阿川と親友のようになっています。二人で本を返しに行くシーン、とてもよかったです。

この映画はぜひドラマを観てから、阿川がどんな人なのか、斉藤みどりとの関係性を把握して観るとより一層楽しめると思います。ドラマは30分が6本で、内容としては2本1セットなので、実質1時間ドラマ3本分です。手軽に観られるのでぜひご覧ください!

以上、「前科者」の感想でした!最後までご覧いただきありがとうございます!